よくたべよくねてよくあそぶ

一難去って、また一難 ぶっちゃけありえない!!(プリキュア)と思いながら労働している大人のオタク

喉元を過ぎて「あの頃」になった

※アイドルオタクがみた、映画「あの頃。」のネタバレあり感想です


ずっとみたかった「あの頃。」をU-NEXTで見ました。
ハロプロには明るくないけど大学生から社会人にかけて(劒と同じだね)、どっぷり女の子アイドルオタクをしていた私からして、良くも悪くもめちゃくちゃリアルだなというのが一番の感想でした。ノンフィクションだから当たり前なんだけどね。

私は所謂「女オタ」なので劔達みたいなグループにがっつり居たわけじゃないんだけど、ライブ終わりの打ち上げと称した飲み会の感じとか、現場*1での内輪ノリの感じとか、こういうオタクめっっちゃいる…!!ってなって笑えたし、まあ言っちゃうとめちゃくちゃ内輪ノリだから寒いっちゃ寒いとも言えるんだけど、ほんまに楽しそうなんよな。。ほんまに作中の言葉通りでずっと中学10年生のノリ。Twitterでも現場でも。ライブに託けてはしゃいでて、いつもほんとに楽しそうな様には、多分この映画を見た人が感じた羨ましさみたいなものがリアルにあった。

オタクみんなキャップ被りがち(事実に基づく偏見)やし、すぐオリジナルTシャツ作りがち(事実に基づく偏見2)やし、西野みたいに何故かサッカーのウェア?みたいなんいつもきてる人もいるし(事実に基づく偏見3)、ロビさんみたいなちょっと粋っぽい謎の説得力あるけどなんの仕事してるか分からんおじさんも絶対いるし(事実に基づく偏見5)、イトウみたいないじられオタクもぜっっったいにいるし(事実に基づく偏見6)、アールみたいな若くてちょっとしゅっとしてる塩顔でバンドしてる兄ちゃんだけに彼女おるのも"めっちゃそう"やし(事実に基づく偏見7)コズミンみたいなネット弁慶のゲス(悪口)だけどそれも込みで面白がられて結果その人の周りで笑いが起きるみたいな人もわりと本当にいる。

コズミンは若くして大病を患ってしまったけど、私の知ってる"コズミン達"はまだピンピンしててどんどん出てくる若いアイドルグループの現場にたくさん行っている(Twitterでたまに見かけるくらいだけど)
余談だけど、掲示板でおまいつ*2の劒たちがそれぞれハンドルネームと一緒に悪口書かれてたのめっちゃあるある過ぎてわらった。


…とまあオタク達のことを好き勝手書いたけど、同じくオタクである私にも「あの頃。」みたいなのがあった。アイドルを追っかけていなかった人たちは多分この映画を見て学生時代を思い出したりするんだろうけど、自分と同じアイドルオタクというフィールドで描かれるものに私はかなり親近感を持った。

本当に中学10年生みたいな時間はすっごく楽しくて、ナカウチさんが言うように「今が一番楽しい」って思えた。大人になってどんどん楽しくなる。めちゃくちゃ恥ずい言い方だけど、ほんとに遅れてきた青春って感じなんだよな。推しが一緒の人たちと酒飲みながらグダグダ言ったり、生誕祭のためにメッセージ集めてアルバム作ったり、サイゼで会議したりな。
そんな遅れてきた青春まがいな大人の心に、頑張る女の子達が歌うアイドルソングってめちゃくちゃ染み入るから感動もひとしおというか……何に重ねてるか分からんけどより熱いな、、となる……

でも10代の青春に終わりがあるみたいに、大人の青春にもなんとなく終わりが来る。
ナカウチと劒が上京したのが作中ではそのキッカケだったけど、リアルでも就職だったり結婚だったり推しグループの解体だったりまあ色々だ。



最近テレビやネットで「推し」という言葉をかなり頻繁に見るようになった。【推し活=尊い、好きなものや人のために頑張る!キラキラ!楽しい!ハッピー】みたいなイメージが今は結構メディアで出てるように思うけど、なんかそれを見ると嘘じゃないけどちょっと後ろめたさがある。
私も現在進行形でオタクだし、推しのおかげで頑張れるし、毎日感謝してるし、本当に楽しいって言える。でもそれだけじゃないこともあるよな?っていう。

コズミンが「あんな無職で貯金もなくて彼女もおらんし借金あるやつもいるおっさん達…」みたいにめっちゃdisってたけど、実際そういう人も多分多い。(最初現場行った時治安悪くて結構ひよった…)かくいう私も借金は流石に無いけど、同年代の一般人*3より貯金はだいぶ少ない。フットワークガバガバなので本州なら遠征に入らんしすぐ行くし、高めの服は悩んでもチケットはすぐ買うし。リボ払いしなければいい!!!お金使うために働いてるからな!!!という思想の宗教なので。。。

まあそんな感じだからお金はうまいことやらないと当然苦しいし、現場に行けない自分が許せなくてお金も時間も無理したり、逆にお金と時間が足らなくてどうしても行けなかったり、お金と時間があっても運がなくてチケット外れたり。推し被りや古参にマウント取られることもあるし、オタクじゃない友人と自分をふと比較しちゃったり、ショッピングセンターのイベントスペースとかでやるライブで、幸せそうな家族連れがいっぱいいるなか内輪ノリで騒いでる身内がなんか寒く見えて自己嫌悪したり、オタクに理解のない家族や友達に否定的なこと言われて痛いとこつかれてしまったりとか。
そういう事も絶対ある。あるけど、ありながらそれでもやっぱりそういう時でさえアイドルに元気をもらって、あーーだめだ私がこんなに応援してもらってるんだから、私も応援させてほしいってなる。だからやっぱり伝えるなら「いつもありがとう。これからも応援してます」がすべてだ。

全力でオタクするのははちゃめちゃに楽しいけど、無理しないといけない時もあるしいつまでもこんな事してられないのかもみたいな影がついて回ったりするけど、その影も目が眩んで見えなくなるくらいの光でかちこんでくるのがやっぱり推しなんだよな。。。光と影は表裏一体だから…………(怖い宗教)


映画でもそういう苦いところが描かれたシーンがある。本当にこのままでいいのか?…と劒があややのポスターを外そうとした時、遅れてきた青春仲間のコズミンがいつもはクズなくせにクソまずいシチュー作ってくれたりして。皮肉だけどそんな友達に会えたのは絶対あややのおかげなんだよな。
美化しすぎだろって思われるかもだけど、オタクで知り合った人ってほんと学生時代の友人と同じ感じだと思う。楽しいこと一緒にして楽しかった人とはいつ会っても楽しい。それが10代でも、立派な成人だとしても大事な青春を過ごした仲間に変わりない。


みんなと一緒にアホなことして楽しかっただけの日々は、私にとって「あの頃。」になったけど。
なんとなく影に追われながらも毎日楽しく笑って中学10年生を生きてる人はきっと今もいる。
この映画を見て自分の"あの頃"を懐かしむ人はそういう日々を咀嚼しおわったんだなって思うし、今も現役で「あの頃。」を生きている人はこの映画をみたら何かを考えるきっかけになるのかなと思う。




「あの頃」を卒業してしまったら自分がどうなってしまうのか怖いと思うときが私はあった。
こんなに楽しくて最高に幸せなのに、こんな楽しいことがなくなってしまって一体自分に何が残るのか?と。
だからこそ「お前ハロプロなくなったらどうすんねん!」というセリフに「いやハロプロの想い出話しつづけたらええやん!」って淀み無く言う西野に痺れた。
そうだよな、今同じ時代を生きてることに感謝して黙って応援しろよ!!!!!楽しい想い出増やしてダメなことなんてあるか????!!


コズミンみたいに「あの頃楽しかったな」って自分の人生を終える時でも心から言えるように、現在も未来もぼちぼち頑張って生きていきたい。立派な人生でなくとも推しに夢中で楽しく生きていきたいし、欲を言えばほかにも夢中になれるものとか大事なものとかもっと増えていたい。


アホみたいに楽しく生きながらも、出てきそうになる影にヒリヒリしながら、でもめっちゃ生きてる…!!って実感するような。そういう時間を過ごした恋愛研究会のメンバーはあの頃が過ぎてどんな風になったんだろう。


その麻薬みたいな楽しさとヒリヒリした影を飲み込めたあのメンバーが羨ましい(コズミンだけは変わらなかったけれど)と思ったけど、私も今この映画を見て「あの頃」だと思えてるから、案外飲み込むのはすごい大きくて尊いことじゃなくて、時間の流れと共にくる生理現象みたいな、ごく自然なことなのかもしれない。寂しいけど。


なんか他界*4した感めちゃくちゃ出してますが、ジャンルが変わっただけでまだ全然がっつりオタクしているので、私はあの頃第2章を生きています。貯金はもうちょっと頑張る🔥

映画『あの頃。』公式サイト

*1:ライブやイベント会場を意味するアイドルオタク用語。最近オタク文化というか推し活が市民権を得つつあるのでオタクじゃない人もわかるのかな…?!

*2:お前いつもいるな の略で常連オタク的な意味

*3:オタクはオタクじゃない人のことをそう言います。おまえらはなんなんだ?!?と思いますよね、すみません。いったい私たちは何者なんだ?と我々が一番思っております

*4:アイドルオタクをやめて現場に行かなくなるという意味のオタク用語