よくたべよくねてよくあそぶ

一難去って、また一難 ぶっちゃけありえない!!(プリキュア)と思いながら労働している大人のオタク

死亡届を書いてユーキャンボールペン字講座の伏線を回収した話


新年度初日、前日に社内発表があった無理な人事配置に文句を言うための会議中だった。机上のiPhoneが鳴った。

光った画面のけたたましい通知の数と、滅多に連絡のない父親からの着信に、上司に断りを入れて電話に出た。

長らく闘病中だった祖父が亡くなったという知らせだった。


今からお通夜になる、仕事は問題ないか確認してあとでLINEしてとのことだ。正直まだ現実味がなく、悲しみよりもとにかく狼狽してしまった。

幸いにもさっきまで不満をぶつけていた上司が仕事を引き受けてくれたので、私は急いでお通夜の行われる葬儀場に向かった。

私が葬儀場に着いたのは、病院で祖父を看取ってからこちらに向かっていた祖母と父親が着いたのと同時だった。

待合室のようなスペースでしばらく待っていると、祖父が包まれているのであろう白い布がカラカラと運ばれてきて横を通り、奥の部屋に通されたようだった。本当にあの中に祖父がいるのかと思うとやっぱりまだなんだか悲しいというよりも変な気持ちになった。本当に?あの祖父が?と。

しばらくしてスタッフの方が声をかけてくれて、祖父にお線香を上げさせてくれた。顔にかかった布はまだ外していいのかがわからず、顔を見ずに先に手を合わせた。

その後待合室で座りながらポツポツと話す祖母に相槌をうっていると「早速ですが、」とスーツを着た男性スタッフの方が葬儀の打ち合わせをしたいとのことだった。
父親、祖母、私の3人で横に並ぶ。葬儀の打ち合わせに私が同席していいのか?となんだか恐縮してしまう。

祖父が亡くなったことに伴う手続きや、お葬式のプランをどうするかなど事務的な話をたんたんと進めていく。あとからきた叔父が祖母を連れて一度実家に戻ることになり、父親と私で引き続き打ち合わせを進めた。

祖父の生年月日などを答えるやり取りの中、特に聞かれてもいないのに父親が祖父のエピソードをいろいろと話していた。いつもあの大きな森林公園にウォーキングに行っていたんです。とか、歌を歌うのが好きでとか、昔は農業をしていたから筋肉もあって力自慢してたもんです、とか。
正直意外だった。父親もなんとなく誰かに話したくなったんだな。


「死亡診断書」というものをこの日初めて見た。斎場に着いてから何度かこれの提示を求められた。そんなに必要なものなんだな、と思いながらその様子を見ていたのだけど、この打ち合わせでもその紙をスタッフの方に渡していた。

「ではこの死亡診断書の左側の死亡届にご記入をお願いできますか」と言うスタッフの男性に、ペンを取った父親がこっちを見た。



「おまえ、字練習しとったよな。これ書いてくれ」



私は昨年末くらいからユーキャンボールペン字講座を受講していた。(三日坊主の割にはわりと続いている)


いやいやいや、まだ2巻のテキストまでしか終わってない!っていうかまだそんな字綺麗ちゃうし!ってかそんな大事なもん私が書いていいん?!って瞬間でいろいろ考えて「え〜……」って小さい声が出たけど

父親は字がかなり大胆で何を書いているか読めない時があることを思い出し、また、こんな機会もなかなかないかとも思って(不謹慎かも、おじいちゃんごめん)「じゃあ書かせてもらうわ」と、承諾した。

ものすごくニコニコ待ってくれているスタッフさんの前で「字上手やからな」と言ってくる父親に、書きづらいわ!!やめろ!!!!と思いながら、生まれて初めて触る死亡診断書とペンを受け取った。

死亡届と書いた紙を前にペンを持った時、なんかようやくウワ〜〜〜となった。あんなに強かったおじいちゃん、もういないのか。私がその証明を書くのか。私が年明けから字練習してきたのってもしかして今日のためだったのか。とか一瞬でいろいろ込み上げるものがあって、視界がぼやけた。



ユーキャンのボールペン字講座を選んだ理由の一つに、講師が私の名前を手書きしてくれた見本がもらえるという特典があった。しかも課題提出の際も毎回名前と住所は必ず添削してくれる。既に4回ほど添削してもらって、最初に比べたらだいぶマシになったようには思っていた。


死亡届で一番最初に書かないといけないのは祖父の名前だ。
父方の祖父なので幸いにも苗字は私と同じだった。でも本当に全然上手くかけなかった。第3回の課題で提出した時の方がずっと上手く書けたのに。おじいちゃん、ごめん。
下の名前の2文字目の漢字は私の住所にある漢字だった。本当はもっと右上がりに書かないといけないのに。なんか本当に全然上手く書けなかった。おじいちゃん、ごめん。でも心から丁寧には書いたよ。


必要なところを書き終えてスタッフさんに渡したら「お上手ですね」とニッコリされた。やめてくれ!!!!!


そのあと、下の部分にサインが必要だったようで父親がそこの部分だけ署名をしていた。ひと通り必要なことを話して打ち合わせがひと段落したあと、父親が煙草を吸いに出て、スタッフさんと2人になった。

「すみません、お父様のお名前のこの字は"成"という字で良かったでしょうか?」

その言葉にやっぱり父親じゃなくて私が書いて良かったかもしれないと、少しだけ気が晴れたのだった。



そもそも私がユーキャンボールペン字講座を申し込んだのは昨年秋に夢を見たからだった。


私は夢の中で、中学生の頃に亡くなった母方の祖母の遺品を漁っていた。たぶんおばあちゃんが持っていた顔用の新品のカミソリを探していた。(遺品の剃刀を使おうとするな)
色々ひっくり返して探していた時、いろんな書類が出てきた。ばさっと広がってしまった紙を見たらどれもめちゃくちゃ達筆で「えー?!おばあちゃんめっちゃ字綺麗やったんや!!すごい!!昔の人やから?!(??)」てなんかすっごく感銘を受けてしまった。
そこで「字汚いのいつか直したいな〜ってずっと思ってたけど、今やらな!!!ぜったい!!急がないと!!!後回しじゃなくて!!」って何故か急に焦燥感に駆られるという夢。

起きてすぐ、やば…これはおばあちゃんからのお告げやわ…申し込まな……って思って割とすぐ申し込んだ。*1


その夢を見る前の日、「結婚相手と初めて出会った時、この人と結婚する…!って直感があった」と言う友人の話を聞いて「え〜?!すごい!!お告げだね!!」と話していた。

友達は結婚相手のお告げがあったのに、その頃一方、ユーキャンボールペン字講座を受けろというお告げがあった私、なに?????おもろ……って思ってたんだけど、もしかして今日のためだったんですか??!おばあちゃん。


ちなみにこの夢を見てユーキャンに申し込んだ翌週、別の友人の結婚式に行ったら余興の漫才で

「おれラーメン屋やろうと思っててさ」
「えー!ほななんか準備してんの?」
「いま資格の勉強してんねん」
「ラーメン屋で資格って珍しいな!そんなんあるか?」
「ユーキャンボールペン字講座」
「は?」
「オーダーかかなあかんやろ、俺字、汚いから」

っていじられてて、おいこっちは先週申し込んだばっかりやぞいじるな!!!2万強振り込んどんねん!!!って思ってたけど、これも絶対に私をボールペン字講座へ誘導するためのお告げだったんですか?おばあちゃん、そしておじいちゃん。





そのあと無事にお通夜も終わり、翌日にはお葬式も終えた。父親が言うようにとっても体力のあったおじいちゃん。
元気で強かったおじいちゃんはさいごはすごく小さな箱におさまったけど、久しぶりに病院じゃなく一緒に家に帰ることができて、祖母もホッとしていた。



おじいちゃん、長い間お疲れ様でした。思春期の時は邪険な態度もとったかもしれない…ごめんなさい…でもおじいちゃんの話はいつも面白くて、高校時代の友達の間では私の爆笑エピソードトークのレパートリーだったよ(怒られるかも、ごめんなさい)

いつも私に「あんたは絶対大成する!優秀になるよ、ご先祖様もそう言ってるよ!」みたいに言ってくれてたの覚えてるよ。大成したかは分からないけど元気に働いてるよ。
元日にアイドルのコンサート行ったって言ったら「頭おかしいんじゃないの?」って言われたのも怖面白かったよ。
褒め方の最上級が「かっこいいね」なのも面白くて好きだったよ。多分今日着てたトレンチコートはおじいちゃんならかっこいいよ!って言ってくれたと思う!たくさん本当にありがとう。




死亡届はもう書くことない方が良いんだけど、字はきれいで損することないしね。引き続きちゃんとテキスト進めます〜〜最近サボりがち、、、、、ぐう、、


ということで、みんなで素敵なボールペン字講座ライフしましょう!!!これを読んだ人は今日がお告げです!はい!やろう!!知らんけど!


あとおすすめポイントとして、添削の時に少しでも褒められたらとても嬉しいです!
まっすぐ書けています(花丸)とか書いてもらえたら「エッ⁉️ほんとかな⁉️ヤッター😄✌️」になります。褒められることに飢えた疲れた社畜にこそ勧めます(?)


ステマみたいになった、おもろい
(当たり前ですが私には一銭も入りませんのでご安心ください)



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あとこのタイトル、何???と自分でも思う

*1:多分夢で見たおばあちゃんの字はおばあちゃんの字ではない(どういう夢??)