よくたべよくねてよくあそぶ

一難去って、また一難 ぶっちゃけありえない!!(プリキュア)と思いながら労働している大人のオタク

恋情をあまり知らん女が「友情」をよんで

積読してた武者小路実篤の「友情」を読んだ。

私は恋愛経験が少ないからだと思うけど、なんとなく他人への愛情の最上級は友情、友愛では?みたいな気持ちがある。もちろんこれはあくまで私の今の考えで、そういう相手に出会えたら万歳で手のひら返してしまうかもしれない。(個人的には早く手のひら返したい)でも、少なくとも今の私にはそう思えてしまう。

結婚みたいなわかりやすい形としてのゴールはないけど、その分告白するみたいな分かりやすい始まりも、お別れするみたいな分かりやすい終わりもない。(大人はわざわざ告白したりしないとかの意見もあるだろうし、友情もわかりやすく縁が切れてしまう時はあるけれど)

見た目やスペックから入ることもなく、笑顔が可愛いとか魅力的だなとかは後から気づく時もあるけど別にきっかけではなくて好きな理由でもなくて。

ただただ一緒にいるのが楽しくてだんだんその子のことが大事だなと思えるようになるし、その子が笑ってくれることは共有したいしゲラゲラしてくれたら面白さ倍増するし、その子が辛いと自分も辛くてなんとかしてあげたい。逆に彼氏ができたとか嬉しいことがあった時もよかったね!!ってお祝いしていっぱい質問攻めにするし。結婚式では最高に綺麗な友人の姿に泣くし、その子のことが大好きだけどその子にとって一番大切なのは新郎さん(同じカテゴリじゃないから順位ではないけど)ってわきまえながら、自分のそばを離れて行く友人を心から祝福するし、でもやっぱり寂しくもあるし。

…ここまで書いて思ったけどもしかして前半は世間で言う恋人なんですかね?!いかんせん私がそういうケースがなかっただけで、、、恥、、、

でもどうも私の中で「恋心」が入ると見返りを求める気持ちが強くなる気がして友情とは質が違う気がするんだよな。

性的な見返りもあるだろうし、交際することでステータスを得るとか、明確に恋人になることで相手の中でのポジションを約束してもらってある程度独占できる?とかがなんか利己的なような気がして。

アニメやドラマでも思うんだけど、男女関わらずめちゃくちゃ良い関係だった2人のキャラに実は恋愛感情が絡んでました、ってなった時になんかすごく「いや、結局そうなるんかい!!!」って思ってしまうというか。はなからそういう目で見てたんか?!?って私の中のアンチ恋情が暴れてしまう。

自分が一番じゃなくてもいいのに相手のことがほんとに大事っていう気持ちが友情の一番熱いとこで、相手が大事なのは大前提だけど自分を一番にしてもらえないと耐えられないのが恋情みたいな…?

エゴ丸出しになるくらい好きで仕方ないって言う気持ちは恋愛の側面として魅力的だなと思うんだけど、献身的?な愛情とはまた違うんかなという。

 

…話を戻しまして、そんな偏りがちな理念の私は武者小路実篤の「友情」を読んで死ぬほど怒りに震えました…

クーーーーッ!!!!!!!!!!!!(思い出し怒り)

なんなん?!?!大宮!!おま…おまえ!!!前半であんなに聖人すぎるくらいだったのに!!!!?!こいつも結局恋愛に溺れてあんなに大事にしていた友達を絶望させるんか?!?!おまえの友情とは?!?ってメチャクチャいきの良いキレ方してしまった(読み終えた時電車だったからちゃんと静かにしてたけど…)

なんならもう後半の手紙が届いた時から既に怒りはじめていた。。。おまえ、、、まさかほんとに、、、、と迫り来る怒りを沈めながら読み進めたけどもう最後で怒りが爆発してしまった。。。

野島、おまえはすごいよ…私ならマスクかち割ったくらいでは気が収まらぬ…マジ無理。。。(しかもあのマスクググったらメッチャ怖いやん!!なに?!)

大宮も本当にいい奴だしわざわざ外国まで行って葛藤したところの努力は認めます(?)※ でもな……終わりが最悪なら全て最悪なんだよ!!(暴論)

※正直大宮ほど葛藤してくれる人間の方が珍しいよな…世知辛い現実…野島にも最後は誠実に対応してくれたしな……まあまだ怒りは治らんがな?!←根に持つタイプなので

 

友情と恋情みたいなとこでいうと、まさにこの小説では恋情はエゴ丸出しな部分で、友情は自分の気持ちをも犠牲にして相手を思いやっているように思えて「友情が至高」っていうわたしの偏った理念が助長されてしまった…………どうしてくれるん……

実際野島が杉子のことを語る時には杉子への思いやりではなく自分の欲求の方が強かった一方で、大宮は自分の気持ちを犠牲にしても野島との友情を守ろうとしたし(最後は諦めましたが…😠)絶望した野島は怒りを覚えた上で親友の大宮と仕事で戦おうとするの、、やっぱり友情ってめっちゃ愛なのでは?!?!?

まあ恋愛の切なさとかドキドキとか幸せとかを悪だなんて全く思わないし、むしろそれは私も感じたことがあって共感もできるんだけどね(だからこそ野島をみてると共感性羞恥でウワアアアアっとなる)

 

一冊を通して野島の恋を描いているのにこの本のタイトルがあくまでも恋情ではなくて「友情」であって、大宮と野島が本当に尊敬しあっているラストだからこそ、ただのドロドロ三角関係じゃなく爽やかな青春小説として読み継がれているんだろうな

上述のように一時は私もメッチャキレたけど、あまりにも爽やかだったから嫌な感じにはならなくて、これがよく聞く"白樺派クオリティ"ってことなの…?!って思いました(小並感)

 

武者小路実篤さんが「失恋する者も万歳、結婚する者も万歳と云っておこう」とおっしゃっていたそうなので、結婚適齢期とよく言われる年齢ながら先日振られた私も、野島のようにこの経験を糧に(神にも祈りながら…)、仕事で決闘するぞ…この世知辛い社会とな……万歳ッ!!!!!!!!!!